研究内容Top of K'sLab

名古屋市立大学大学院 システム自然科学研究科
木藤研究室(生体制御情報系・植物生命科学研究分野)

研究内容

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主な研究テーマ

オオムギ特異的タンパク質P23kの機能

 ムギは世界中で最も多く生産され、人類にとって欠くことのできない作物です。もしムギが存在しなければ、私たちの食卓からパンや麺類をはじめとする多くの食品が消えてしまいます。さらにアルコール類や調味料の多くも口にすることはできません。私たちの研究室では、そのように人類にとって大切なムギの研究を行っています。
 P23k はオオムギやコムギなどのムギ類にしか存在せず、ムギが進化の過程で獲得した種特異的なタンパク質です。したがって、P23k はムギが独自の形質を発現するために重要な役割を担っていると期待されます。我々は、P23k を機能未知の新規タンパク質として同定しましたが、このタンパク質の機能解明がムギの本質を知る重要な手がかりになると期待しています。現在、分子細胞生物学的な手法を用いて様々な角度からP23kの機能解明に取り組んでおり、これまでにP23k がムギ特異的な細胞壁多糖類β-(1,3;1,4)-グルカンの合成や分泌に関わっていることを示唆する数多くの結果を得ています。

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ムギの低温環境適応機構〜低温春化を中心に〜

 人類が食料として利用している穀物や野菜類の多くは低温に遭わなければ花を咲かせ実を付けることができません。この低温による花芽形成促進機構は春化と呼ばれ、作物の栽培地域や栽培時期を左右する重要な形質です。現在、地球は温室効果ガスなどの排出で温暖化が進行していますが、このままでは花芽形成に低温を要求する植物の栽培に影響が及ぶのは目に見えて明らかです。食糧不足が蔓延化して、人類存亡の危機を迎える可能性すらあります。このような状況に対処するため、私たちの研究室ではコムギやオオムギなどのイネ科冬作物に的を絞り、春化誘導のメカニズムを説き明かす研究に取り組んでいます。春化に関しては、モデル植物であるシロイヌナズナを用いた研究で詳しい作用モデルが提唱されていますが、同定された因子の多くがシロイヌナズナを含むアブラナ科の植物に特有のもので、コムギやオオムギなどのイネ科の植物には対応する因子が存在しません。従って、イネ科の冬作物はシロイヌナズナとは異なる機構で春化を誘導していると考えられます。本研究では、イネ科冬作物の春化誘導機構を解き明かして地球温暖化に対応できる冬作物の開発に貢献したいと思います。

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DNAバーコード解析

 本研究は現在着手していませんが、伊勢湾周辺の丘陵地帯に点在する湿地などに分布する特有の植物群(周伊勢湾要素植物群)のDNAバーコード情報を順次収集していく計画です。

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