研究内容

結晶表面のダイナミクス

結晶表面は一見平らに見えますが,原子のレベルで見てみると,そこには原子の高さの階段(ステップ)が存在します。結晶が成長するときは,ステップが結晶表面を次々に覆い尽くしていくことで,一層一層積み重なっていくのです。すなわち,結晶成長を理解するには,ステップの力学(ステップ・ダイナミクス)を理解する必要があります。

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分別結晶作用

マグマの中で成長する鉱物の結晶は,一般に,その母相であるマグマとは異なる化学組成を持ちます。鉱物に取り込まれない成分は,鉱物の成長とともにマグマ側に排除されることになります。つまり,鉱物が成長すると,その周囲のマグマの化学組成が変化し,結果としてそれが鉱物の成長自体に影響を及ぼす,という相互作用(フィードバック)が生じるのです。鉱物の結晶成長を理解するには,この相互作用を理解する必要があります。

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コンドリュール

地球に落下する石質隕石の多くには,直径 1 mm ほどの球粒が含まれています。これは「コンドリュール」と呼ばれ,およそ 45.6 億年ほど昔の初期太陽系において,1 mm サイズの固体物質がなんらかの加熱メカニズムによって融解し,表面張力によって丸くなったあと,急冷凝固したものだと考えられています。コンドリュール内には,急冷凝固時に形成した鉱物の結晶が含まれています。これらの鉱物結晶の成長過程を理解することができれば,コンドリュールの成因が解明でき,初期太陽系における物質進化に関する有益な情報を得ることができるでしょう。

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