湯川硏の研究テーマまとめ
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研究の目的
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1.植物の遺伝子発現制御の仕組みを明らかにする
2.遺伝子制御を解析する in vitro 系を開発する
3.RNAの機能を明らかにする
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研究材料の植物
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タバコ、シロイヌナズナ、イネ(植物体および培養細胞)
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研究テーマ
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RNA合成(転写)機構の解明、タンパク質合成(翻訳)機構の解明、機能性RNAの発見と機能解析、RNA結合タンパク質
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研究手法
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独自技術の無細胞(in vitro)転写系および無細胞(in vitro)翻訳系と、その他一般的な手法の組み合わせ
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研究のキーワード
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植物遺伝子、遺伝子発現制御、転写、翻訳、無細胞解析系、in vitro転写、無細胞系、タバコ、シロイヌナズナ、イネ、植物培養細胞、核コード遺伝子、非コードRNA、RNAポリメラーゼIII、tRNA遺伝子、snRNA遺伝子、スプライシング、光依存遺伝子転写、ストレス応答、葉緑体遺伝子、遺伝子の干渉、クロマチン、基本転写因子、植物ホルモン
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究極の興味 ー 基礎生命科学

遺伝子発現を調べる電気泳動
私たちの抱いている植物遺伝子に対する興味は、元をたどれば、「植物がなぜ植物らしい特徴を持ち得たのか?」という興味から始まりました。この興味はさらに進んで、生物誕生の謎への探求へとつながります。
少々大げさですが、我々の研究の究極目的は、遺伝子の使われ方を糸口に、生命の原理を探ることです。
未知への探求心は、決して無駄ではなく、未来に向けた人類の原動力なのです。希望に満ちた、自然科学の世界を、研究室の中で共有し楽しめるように、日々努力しています。
新規低分子RNAの探索と同定
主要なモデル生物のゲノム計画(全ゲノム塩基配列の完全決定)の完了に伴い、ゲノム配列上に遺伝子の特定(アノテーション:注釈付け)が続けられています。それらの過程で、タンパク質コード情報を含む遺伝子の数が予想外に少ないことが判明しました。しかし同時に、DNA上の至る所からタンパク質情報を含まない RNA (ノンコーディング RNA: ncRNA) が転写されることも分かってきました。例えば、タンパク質をコードする転写物(mRNA)は、ヒトの場合で、わずか全転写物の約2%、植物でも約4%です。多量に存在するノンコーディングRNAは何か重要な機能を持っているに違いありません。これらのRNAの発見と機能解析は興味深い研究テーマです。
それでは、どのように研究を進めたらよろしいのでしょう。タンパク質コード遺伝子は、実は情報科学的に容易に予測が付き、比較的簡単に見つかります。それに対して未知のノンコーディング RNA 遺伝子を予測する方法はまだ確立していません。そこで、我々は持ち得る技術を駆使して、これらの難題に挑戦しています。つまり、植物由来のノンコーディング RNA 遺伝子の予測を目的に、タバコの in vitro 転写系を最大限活用して研究を進めています。
具体的には、RNA ポリメラーゼ III が認識する極めて保存性の高いプロモーター配列をコンピューターで全ゲノムデータから検索し RNA 遺伝子候補を見つけ出しました。得られたRNA 遺伝子候補配列を含んだDNAをゲノミック PCR で増幅し、in vitro 転写系でその転写能を確認し、新しいRNA候補が多数発見しました。特に、シロイヌナズナ由来のAtR8 RNAは、低酸素に応答する興味深いノンコーディングRNAです。

シロイヌナズナで見つかったRNAポリメラーゼIIIで転写されるAtR8 RNA の2次構造(予測)
その他にも、同様の方法でイネからも多数のノンコーディングRNAを発見しました。目下、それらのRNAの機能を解析中です。
低酸素ストレスに応答して発現するncRNA 成果が、2012年のRNA Biology誌
に掲載されました




