2010年 生物学基礎III/基礎分子生物学(薬学部・医学部 1年生 後期 火1時限)
現代の生命科学にとって、分子生物学的手法、考え方は欠かせない。本講義では、遺伝子の実体としてのDNAの働きを中心に、遺伝情報の継承と機能発現について基本原理を学ぶ。単なる知識としてだけでなく、未知の生命現象に対する検証可能な問題設定、実験的なアプローチ、結果から得られる考察までに至る研究の論理性について理解することを目的とする。
学習到達目標
遺伝子、ゲノムの概念が説明できる。 DNA複製、転写、翻訳の概要が説明できる。 分子生物学的な論理的思考ができる。 授業計画 2. 古典遺伝学から分子遺伝学へ:染色体、遺伝子、ゲノム 3. 遺伝物質としてのDNA 4. DNAの化学的性質と二重らせんモデル 5. 遺伝情報の継承I:半保存的DNA複製と複製フォーク 6. 遺伝情報の継承II:DNA複製機構と制御 7. 遺伝情報の継承III:変異とDNA修復 8. 遺伝暗号の解読I:セントラルドグマとアダプター仮説 9. 遺伝暗号の解読II:tRNAシステムと翻訳機構 10. 遺伝子の発現I:原核生物における転写の分子機構 11. 遺伝子の発現II:真核生物における転写の分子機構とRNAプロセシング 12. 遺伝子の調節I:オペロン説と転写調節 13. 遺伝子の調節II:クロマチン構造と制御 14. 遺伝子機能から見る生命現象I:シグナル伝達とがん 15. 遺伝子機能から見る生命現象II:エピジェネティクスと万能細胞 16. 期末試験 毎回ハンドアウトを準備するが、自主学習のための参考文献として以下を挙げる。ワトソン「遺伝子の分子生物学」第5版 中村桂子監訳 東京電機大学出版局、Molecular Biology of the Cell 5th ed. Bruce Alberts, et al., Garland Scienceなどは生命科学を学ぶ学生には大学生時代に一読してほしい。比較的安価なものでは、「ベーシックマスター分子生物学」東中川徹 他編 オーム社、「分子生物学講義中継パート1」井出利憲 羊土社 などが読みやすいと思われる。 基礎的かつ論理的に講義を進めることで高校生物非履修者にも十分配慮するが、自分で参考文献等を用いて学習することが大切である。毎回クイズや小テストを課すので、単に講義を聴くだけでなく積極的な参加を希望する。ハンドアウトを準備するが、あえて重要ポイントをあえて記述しない場合があるので集中して授業に参加してほしい。生物学は単語、事象を暗記するのではなく、論理的に考えて理解することこそ重要です。 ハンドアウト(PDF) 9/28 10/5 10/12 10/26 11/2 11/9 11/16 11/30 11/30補足 12/7 12/14 12/21 1/11 1/18 過去問(PDF) 2010年度 2009年度 2008年度 2008年度 中間 2008年度 アンケート 2007年度 2006年度
2010年 自然科学実験:生物学5「基礎分子遺伝学」、生物学6「基礎生化学」(医/薬1年生 後期 水/木3、4時限) 本実習では、遺伝子の実体としてのDNAの働きを形質転換実験で、および遺伝子産物であるタンパク質の酵素活性について、分子生物学実験に欠かせない基本操作とともに学ぶ。 生物は外界の状況などに応じて自身の遺伝子発現を調節することにより、環境応答を行う。非病原性の大腸菌K12株(Escherichia coli K12)は培養が簡単であり、世代時間が短く、組換えDNA実験が容易に行えるという非常に有利な実験系として広く利用されている。歴史的にも重要な概念がこの系から多く導き出され、この株なしには現在のバイオサイエンスの隆盛はなかったとさえいわれるほどの大きな貢献を果たしてきた。本実習では、大腸菌ラクトースオペロンにおける遺伝子発現制御系を利用することで、巧妙な生物の環境応答システムについても考察する。 第1週:大腸菌の形質転換 DNAの遺伝的性質を理解する 分子遺伝学の論理性を学ぶ 無菌操作を習得する 第2週:酵素活性の定量 遺伝子発現制御を理解する 酵素活性の比色定量法を学ぶ 2010年 実習テキスト(pdf) 2010年 補足 (pdf) 2009年 実習テキスト(pdf) 2009年 HO (pdf) 2009年 バイオサイエンス入門:健康の生物学 ハンドアウト(PDF) 2008年 生活の中の科学:遺伝子で決まること、決まらないこと 2009.9.18 瑞陵高校特別授業「分子生物学実験:ラクトースオペロン」 2008.12.25 瑞陵高校特別授業「分子生物学実験:DNAと遺伝子」
1. 分子生物学の潮流:「生命とは何か」
皆さん真剣に聞いています