中務准教授の論文が国際学術誌 Biochemical and Biophysical Research Communications に掲載されました
研究分野 | 生命科学(生化学) |
掲載誌 | Biochemical and Biophysical Research Communications |
論文題目 | Triacylglycerol lipase Tgl4 is a stable protein and its dephosphorylation is regulated in a cell cycle-dependent manner in Saccharomyces cerevisiae |
著者 | Kunio Nakatsukasa*, Munetaka Fujisawa, Xiaotan Yang, Tomoyuki Kawarasaki, Fumihiko Okumura, and Takumi Kamura* |
所属機関 | 名古屋市立大学、福岡女子大学、名古屋大学 |
概要 | 細胞が分裂して増殖するには、大量のエネルギーと脂質膜を必要とする。エネルギーと脂質膜の前駆物質となるのが脂肪酸であり、グリセロール骨格と結合したトリアシルグリセロール(TG)の形で脂肪滴に貯蔵されている。細胞が分裂に向けて核酸を複製するS期以降、脂肪酸はトリアシルグリセロールリパーゼという酵素によってTGから切り離され、エネルギーや脂質膜の合成に使われる。出芽酵母のTgl4は、マウスのAdipose triglyceride lipaseと相同な機能をもつトリアシルグリセロールリパーゼである。これまでの研究から、Tgl4はG1後期にCdk1/Cdc28を介したリン酸化により活性化され、遊離脂肪酸を生成させることで、S期進行に寄与することが知られていた。しかし、Tgl4はその後、常に活性状態にあるわけでなく、細胞周期のどこかで脱リン酸化により不活化されると考えられていたが、そのタイミングは不明であった。また、エピトープタグを付加したTgl4の解析から、Tgl4は合成後すぐに分解される短寿命タンパク質であることが示されていた。我々はTgl4に対する特異的抗体の作製に成功し、エピトープタグの影響を完全に排除した条件で、細胞周期におけるTgl4のリン酸化状態と安定性を調べた。その結果、Tgl4はM期からG1期への移行時に脱リン酸化され不活化されることを示した。また、過去の報告とは異なり、Tgl4は細胞周期を通じて安定なタンパク質であることを明らかにした。 |
掲載日 | 2022.8.11 |
DOI | 10.1016/j.bbrc.2022.08.022 |
備考 |