三浦准教授と安田匠さん(三浦研・修了生)の論文が国際学術誌 Publications of the Astronomical Society of Japan に掲載されました
研究分野 | 物質科学(惑星科学) |
掲載誌 | Publications of the Astronomical Society of Japan |
論文題目 | Thermal evolution model from cometary nuclei to asteroids considering contraction associated with ice sublimation |
著者 | 三浦 均、安田匠 |
所属機関 | 名古屋市立大学 |
概要 | 彗星は主に水の氷からなる太陽系の小天体ですが、太陽に近づくと氷が少しずつ蒸発し、内部に埋もれていた岩石が残されます。こうして最終的には、主に岩石のみからなる小惑星のような天体に変化していくと考えられています。この研究では、彗星内部の氷が完全になくなるまでの時間(乾燥時間)を予測する新たな理論モデルを提案しました。特に、氷の消失に伴う天体の収縮に注目し、それが内部の温度分布や水蒸気の流れに与える影響を詳しく調べました。このモデルにより、小惑星のように見える天体の内部にまだ氷が残されているかどうかを推測する手がかりが得られます。近年発見された彗星と小惑星の両方の特徴をもつ「彗星/小惑星遷移天体」の進化を理解する上で重要な成果です。 |
掲載日 | 6 June 2025 |
DOI | 10.1093/pasj/psaf048 |
備考 |

彗星から小惑星への進化の概念図。(a)太陽放射によって加熱され,氷が昇華する。(b)氷に埋もれていた岩石(ダスト)が露出する。(c)彗星の重力により,露出したダストがその表面に積層してダストの層を形成する。(d)内部の氷から生じた水蒸気が多孔質なダストの層を通り抜けて外部に流出。最終的にダストのみが残された天体へと変化する。