横山悠理生物多様性研究センタープロジェクト推進員らによる論文が、なごや生物多様性センター機関誌「なごやの生物多様性」に掲載されました
研究分野 | 生命科学(進化・生物多様性) |
掲載誌 | なごやの生物多様性 |
論文題目 | 名古屋周辺ワシタカ類のDNAバーコーディングと集団遺伝解析 |
著者 | 横山悠理,中島京也,陸田径典,熊澤慶伯 |
所属機関 | 名古屋市立大学、日本ワシタカ研究センター、テクノ中部(株) |
概要 | 名古屋周辺より保護された11種のワシタカ類合計69個体について,ミトコンドリアDNAにコードされるシトクロムオキシダーゼサブユニットⅠ遺伝子(COⅠ)の部分塩基配列を決定した.ハヤブサ及びオオタカについては,ミトコンドリアDNA制御領域の部分塩基配列も決定した.これらの塩基配列は,性別や採取地などの関連情報とともに,Barcode of Life Data Systemsデータベースに,プロジェクト名DNA Barcoding of Raptors in Central Japan (DBRCJ)として登録し,DNAバーコードデータベースを作成した. 解析した11種のワシタカ類に関して,形態的特徴から同定された種とCOⅠ遺伝子配列から推定される種が一致し,DNAバーコーディングによる種の識別が可能であることを再確認した.トビ,ミサゴ,ノスリでは,日本産個体とデータベース由来の欧州産個体との間で,明確な遺伝的分化が見られた.またミサゴとオオタカでは,日本産個体とデータベース由来の米大陸産個体との間でも,明確な遺伝的分化が見られた.一方ハヤブサでは,日本(極東),欧州,米大陸といった広域の個体間で明確な遺伝的分化が示されなかった.以上の結果は,それぞれの種に属する個体の渡りの様式とおおむね相関していたが,中にはチョウゲンボウのように,海外への渡りを行った記録が確認されていないにもかかわらず,日本産個体と欧州産個体の間に明確な遺伝的分化が見られない種もあった. 国内産のオオタカは種内の遺伝的多様性を示す指標が比較的低く,近年の個体数の減少によるボトルネック現象を反映すると思われた. |
掲載日 | 2020年3月 |
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備考 |