名古屋市立大学大学院 理学研究科 総合生命理学部

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2020年4月より、大学院の名称が「システム自然科学研究科」から「理学研究科」に変わりました。以下のメッセージでは、寄稿された当時の名称が用いられています。

鈴木涼月さん(2023年度博士前期課程修了・生命情報系)

「“感情の根源を明らかにしたい。」本研究科への進学を決めたのは卒業研究の「その先」に惹かれたからでした。私の研究対象は「線虫」という小さな動物の脳。この動物の行動や脳の活動を顕微鏡で計測します。この動物で、どこまで、どのようにして、生物共通の謎に迫れるのか。考えるだけでワクワクします。その好奇心を動力源として、私は理学研究科に入学しました。理学研究科での学生生活は、非常に刺激的なものでした。強いてその理由を挙げるなら2つ。

1つ目はやはり研究活動です。学部で培った知識・技術を総動員させ、研究テーマに挑みました。博士前期課程での研究は、独自のテーマかつ先端的技術を使ったもので、卒業研究のそれとは一線を画すものでした。学会や研究会で発表し、たくさんの研究者と議論を交わすことができたことも博士前期課程の研究の魅力のひとつでした。分野の先端に立って、世界トップのライバルと競い、議論することは私を奮い立たせました。その中でも、研究会で賞をいただけた喜びは今も強く胸に残っています。また学部・研究科での出会いも研究につながっています。私は生命科学を研究していますが、プログラミングや数学を解析に用いることで独自の研究ができたと思います。これは、日ごろから情報科学や数学、物理学を勉強している同僚からの影響が大きく、何気ない会話から研究のヒントを得られることは珍しくありませんでした。

2つ目は名古屋という立地での出会い名古屋には名市大以外にも、いくつも大学があります。私は研究のコミュニティやSNS、学会を通じて、他大学や名市大他研究科の研究を志す仲間たちと出会いました。彼らとは研究セミナーを共に開催したり、頻繁に食事に行ったりします。食事の場では深夜まで真剣な研究談義をしたり、ときには悩みを共有したりと、大学院生ならでは、な経験をしました。彼らと切磋琢磨したことは、私の学生生活に欠かすことができないものです。名古屋という大きすぎず、小さすぎない都市だったからこそ、この結びつきが生まれたのだと思います。 

(研究では独自性がひとつの鍵です。そこで、多くの人が語る「先生との距離」「整った設備」「広い分野」以外で、ちょっとニッチかもしれない角度で書きました。) 

私は総合生命理学部・理学研究科とすでに6年間お世話になっておりますが、今後も理学研究科博士後期課程であと数年お世話になる予定です。ぜひ、理学研究科に進学した暁には、一緒に研究生活を楽しみましょう。 

大久保佳織さん(2018年度博士前期課程修了・自然情報系)

私は他大の教育学部を卒業後,小学校で非常勤講師として働いていたのですが,自分の世界を広げてみたいと思い,社会人学生として3年間研究科に通いました。

私が名市大を選んだ理由の一つは,“様々な分野の研究室がある”ことでした。自分がやりたい分野は数学でしたが,生物の話を聞くのも好きだったので,他分野の授業を受けられるのは面白かったです。なにより,友人との日常会話から知識を吸収できることが,視野を広げてくれました。

また,「結び目理論」に出会えたことも大きかったです。みなさんは数学に対してどのようなイメージを持っていますか? 私は数学の教員免許取得の為に勉強していた時は,嫌いではないけれど,楽しいわけではありませんでした。特に高校数学は計算が多く,作業に感じていたのかもしれません。しかし,いままで学んできたことは数学の氷山の一角で,まだまだ知らない世界があると,大学院で知りました。数学の中にも色々な分野があって,高校までに出会わないものもあります。皆さんも,ぜひ名市大で好きな事を見つけてください。

大学院時代で一番楽しかったことは,韓国で学会発表に参加したことです。海外へ行くことも,英語で発表することも何もかも初めてで,最初はどうなることかと不安でした。しかし先生方に根気よくご指導いただき,賞を取ることができた時は本当に嬉しかったです。また,現地でみんなで居酒屋へ行ったり,日本へ帰ってきた後も集まって遊んだりと,新しい友人との出会いもあり,かけがえのない時間を過ごすことができました。

現在私は,会社員として働きながら名市大に研究員として所属しています。一生打ち込める研究対象を見つけることができて,とても幸せです。

楠根貴成さん(2016年度博士後期課程修了・自然情報系)
国立天文台 理論研究部 特任研究員

アフリカ大陸の最南端に位置する南アフリカ共和国。この国へは20時間弱の空の旅を強いられるわけですが、私が在学中にお世話になった南アフリカ天文台観測所は、空港から車で更に5時間もかかります。そんな僻地にある巨大な望遠鏡を使って星を観測し、星形成領域の磁場の観測的研究を私は行ってきました。

システム自然科学研究科で研究生活を送ることができて良かった思うことは大きく分けると3つあります。

1つ目は研究科の研究分野が多岐に渡っているということです。生物から数学、物理、化学、情報と様々な分野の先生・学生が所属している本研究科。このため、研究科内で研究成果を発表する際は、けっして専門用語で誤摩化すのではなく、物事の基礎や本質を理解して臨まなければなりません。“誰にでもわかりやすく”プレゼンテーションを行うということは、修了後社会に出たときに役に立つだろうと思います。また、他分野の人と話すことで「なるほど、そういう考え方もあるのか」と驚くこともしばしばあり、多角的に物事を見ることの重要性も学びました。あとこれは余談なのですが、生物学の知識が中学生で止まっていた私にとって、生物学の講義は未知そのものでした。毎回興味深く拝聴することができ、(講義をされる先生には失礼かと思いますが、)そういった分野外の講義は私にとって研究の良い息抜きとなっていました。

2つ目は先生と学生の距離が近いことです。少人数制が幸いして、指導教官の先生はもちろんのこと、他分野の先生にも気軽にアクセスすることが可能な環境となっています。指導教官の大変熱心なご指導のおかげもあり、私は日本学術振興会特別研究員DC1に採用されましたが、このとき、他分野の先生方からのアドバイスも大変参考になりました。

3つ目は研究活動のサポートが整備されていることです。専門が天文学ということで、南アフリカに観測に赴くこと10回、フランス・ハワイ・ベトナムで開かれた国際研究会に参加すること数回と、院生5年間は海外渡航の多い研究生活となりました。学生である私が安心して研究を遂行できたのも、大学からの支援があったからに他なりません。海外渡航に対する安全面の支援から、国際研究会への参加費用・国際学術誌への論文投稿料といった金銭面の支援までしていただき、本当に感謝しております。

システム自然科学研究科は、将来研究職に進むにせよ一般企業に就職するにせよ、真剣に研究に取組みたい人には良い環境だと思います。

三浦陽子さん(2015年度修了生・生体要素情報系)

私は、他大学で助手として仕事をしながら研究を行う、社会人学生としてシステム自然科学研究科の博士課程に入学しました。以前は、食品の機能性成分が身体に対してどのような効果を示すかを主体として研究を行ってきました。研究を進めるうち、より分子レベルの研究に興味を抱くようになり、本研究科では、プロテアーゼの構造と機能の解明を中心に研究を進めました。一つのタンパク質の有する性質を多方面から検討することができたことは、非常に有意義であったと思います。社会人として入学すると、仕事の都合上研究を行う時間が限られ、遅々として研究が進まないこともよくありました。このような中で、先生方には様々な面でサポートやアドバイスをしていただけたため、少しずつでも研究を進めることができました。また、学生も多様な分野で研究を行っているため、話をしていると、異なる視点から物事を見ることの重要性に気づくこともありました。仕事をしながらの研究生活は、精神的にも肉体的にも辛いことが多いですが、「焦らない、でも止まらない」ことが重要であり、必ず研究成果も実ると感じました。

藤谷武史さん(2012年度修了生・生体構造情報系)
名古屋市東山動植物園 飼育係

私は、社会人学生としてこの研究科で学んできました。 私の仕事は動物園の飼育係をしており、大学院では仕事である動物園の業務に活かすために入学を試みました。

システム自然科学研究科の社会人長期履修生度を利用し、3年間の修士学生として学びました。 この制度のおかげで、非常に有意義にかつ効率よく勉学や研究に費やすことができ、非常に助かりました。

私の研究テーマはカスミサンショウウオという小型の両生類の集団遺伝解析でした。 私の仕事である動物園では、両生類を担当しており、そのためこの動物を研究テーマに選びました。 このカスミサンショウウオは、地元名古屋市内に生息している非常に身近な両生類です。 絶滅危惧種に指定されており、野生下での生息悪化が懸念されている動物の一つです。

動物園では飼育動物以外に野生の動物の保全は重要な任務の一つです。 そのため、私は保全を目的としたカスミサンショウウオの遺伝的多様性を明らかにしようと試みました。 初めての分子レベルの解析にはじめは苦戦しましたが、指導教授や研究室の方々にかなり助けていただきながら実験に取り掛かることができました。 野外での採集活動にも先生を始め研究室のメンバーにも手伝っていただき、周りに支えられながら研究を進めていったという印象でした。

さらに、システム自然科学研究科は様々な分野の諸先生方がおられ、遺伝解析理論などは当研究科で副指導教官の先生に丁寧にご教授いただき、 非常に貴重な学習経験をさせていただきました。そのほか、生物多様性研究センターの先生には公私を含めた様々なアドバイスをいただき、 私は研究科の様々な先生をはじめ同期の学生や技術職員の方々に大変お世話になりました。

指導教員はもちろんのこと、他の諸先生や学生立ちとも垣根がなくご指導やご協力いただけるのは、この研究科の最大のメリットだと思います。 この研究科は決して大規模な大学院ではありませんが、様々な分野があり、そして、様々な方と交流を持つことができる本当に楽しい研究科だと感じました。 社会人の方にとって、この研究科で学び研究することはかなりお勧めだと思います。

小林達矢さん(2009年度修了生・生体高次情報系)

私は、ライン長に基づく画像鮮鋭化の最適化に関する画像処理の研究をしていました。

私は学部生の頃から画像に関わる研究をしており、更に進んだ画像処理の研究を続けたいと思い、大学院進学を考えました。 その頃、私が最も興味を持っていたのが写真等の画像識別でした。そのような研究を調べていたとき、名市大での研究が目に留まり、研究室を訪問しました。

在学中は研究が思う様に進まない、学費の為のアルバイト両立等苦しいこともありましたが、 先生方のサポートのお陰で無事研究を進めることができ、学会での研究発表をはじめ、企業とのやり取り等貴重な経験をさせていただきました。

また、この研究科では専門科目の系列が4つあり、自身の研究系列だけでなく他の系列研究と互いに協力したこともありました。 同じ研究科とはいえ、他の系列の研究は私にとって新鮮なことばかりで、生体へのアプローチといっても様々な形があるのだと、 とても感銘を受けたのが記憶に新しいです。この研究科に進学した際には、是非様々な生体へのアプローチを見て、触って見識を広げてもらいたいと思います。

現在の仕事は、インフラにかかわる業務についています。 大学院での研究をそのまま活かせる内容ではありませんが、研究室で養った、課題に対するアプローチ方法や考え方、モノの見方などが大いに役立っています。

最後に、システム自然科学研究科で私が良いと思うところは、指導教員や担当に限らず先生方との距離が非常に近いことです。 先生方は、研究についてもそうですが、その他困ったことがあれば親身に相談にのってくれます。 したがって、積極的に自身が考えて行動すればそれに答えてくれる、とても良い環境が整っていると感じました。

是非、やりたいことを片手に研究室を訪ねて欲しいと思います。

秋田浩幸さん(2003年度修了生・生体物質情報系)
フジモトHD(株)大阪彩都研究所

私は、現在、フジモトHD(株)の大阪彩都研究所で働いております。 フジモトHDには、磁気治療器や着圧ソックスのピップ(株)や、医薬品、健康食品のワダカルシウム製薬(株)、化粧品のアブコ(株)といったグループ会社があります。 大阪彩都研究所では、医薬品、医薬部外品、化粧品、健康食品の分野において、これからのグループ会社と連携した業務を行っております。

その中で、私の部署および私の業務は、グループ会社に提供する原料素材やその有効成分の探索と有効性の検証といった基礎研究を行ったり、 最終製品での有効性確認(ヒト臨床試験)を行っています。

基礎研究では、素材の確認試験や安定性試験において、大学院で扱っていたFT-IRやUV-vis等の分析機器を用いた業務を行っております。 また、ヒト臨床試験では、試験のプロトコール作成から試験の実施し、試験結果においては、国内外の学会発表や論文投稿を行っております。

大学院で扱って機器のスペクトル解析は、消費者クレーム品の原因追求にも役立っており、 これまでの経験が製品不良の原因追求の手段として活かされており、製品の品質確認としても役立っております。 これらは、社内でも余り関わったことない分野であるため、学生時代の経験が、現在、自分の武器にもなっています。

システム自然科学研究科を考えている皆さんは、大学院での研究を行っていくことになりますが、 この研究科の先生方は、生徒と近くで向かいあっていただける方々ばかりです。また、少人数に先生がついていただける恵まれた環境でもあります。

そのため、自分で思考錯誤して実験し、結果を出していったことが、現在の業務でも役に立っております。 また、人とは違うこと、多面的な視野が、企業でも求められているかと、思います。

興味を持たれた皆さんは、システム自然科学研究科がどういう所なのか?興味ある研究室がどんなことをしているのか??  是非、一度、この扉を開けて頂きたいと思います。

佐々木忠将さん(2004年度博士後期課程修了・生体要素情報系)
理化学研究所 環境資源科学研究センター 研究員

システム自然科学研究科は「自然科学を物理・化学・生物・数理・情報科学などの学術領域から学ぶ」という非常にユニークな研究科で、 私はシステム自然科学研究科に1期生として入学し、生体制御情報系の研究室に所属し、 高等植物の葉緑体の遺伝子発現に関する研究に取り組みました。

講義では各分野の最先端の理論や技術を学ぶことができました。

システム自然科学研究科の特徴のひとつに学部を持っていないことが挙げられます。 そのため、同級生・後輩は皆、様々なバックボーンを持っていました。 自身の研究や、熱意のある先生方の講義、バックボーンの異なる学友との交流を通して、 様々な科学的観点から生命現象を捉えることの奥深さとその魅力に気付き、博士後期課程まで進学することを決めました。

実験は、思うように進まず失敗することも多かったですが、 そのときに支えていただいた恩師・先輩・同級生・後輩との出会いはかけがえのないものであり、 今でも交流は続いています。

特に、修了後は多方面に就職し全くの異分野で活躍する同輩・後輩との交流は、社会人になった今でも大きな刺激にもなり勉強になります。

学位取得後は、愛媛大学ベンチャービジネスラボラトリー講師、東京理科大学基礎工学部助教を経て、 現在は理化学研究所環境資源科学研究センターに所属し、研究・教育に携わっています。

研究を進めるにあたって、システム自然科学研究科で得た知識が礎になっていることは言うまでもありませんが、 近年、私の職業分野である研究・教育の現場はもちろんのこと、多くの分野は多様な専門が入り乱れ協調しながら成り立っています。

このような異分野融合はどんどん広がっており、職業分野に関わらず、 ひとつのプロジェクトを進めるうえで多角的な視点からサイエンスに基づいたディスカッションができる能力は 今後ますます求められるものとなるでしょう。 そのときに、システム自然科学研究科で得られるであろう知識と経験が、 システム自然科学研究科へ進学することを検討している皆さんの人生にとって、きっと大きな意味を持つものと考えています。

ぜひシステム自然科学研究科へ進学し、卓越した専門知識と幅広い科学知識を習得し、充実した研究生活を送って下さい。

大学本部「卒業生インタビュー」

大学本部「在学生の声」