名古屋市立大学大学院 理学研究科 総合生命理学部

Japanese English

名古屋市立大学大学院 理学研究科 総合生命理学部

Japanese English
キャンパスマップ | アクセス | お問い合わせ

名古屋市立大学大学院 理学研究科 総合生命理学部

Japanese English

Event Info
イベント情報

第165回「昆虫による植物表現型操作、虫こぶの謎に迫る」「盗タンパク質—ゲノムに書かれない進化」

第1部「昆虫による植物表現型操作、虫こぶの謎に迫る」

講師 別所-上原 奏子(東北大学 大学院生命科学研究科)
日時 2023年5月19日(金),16:30〜18:30
場所 滝子キャンパス2号館4階 401号室
概要
虫こぶとは、昆虫によって誘導される異形の植物器官で、昆虫にとっては居住地かつ食料となり外敵か ら身を隠すにも最適な場所となる。昆虫は長い進化の歴史を経て、植物を自分たちの生存に有利なように形態 を大きく変化させるに至った。昆虫綱では30目のうち6目に虫こぶ形成を行う種が含まれることから、昆虫の特 定の目で虫こぶを形成する能力が獲得されたと考えられる。また、寄生する昆虫種が異なれば同一植物の上 でも異なった形態の虫こぶが形成されることから、昆虫側に虫こぶ形成の要因があると考えられている。親昆 虫が植物組織内に産卵し、その中で幼虫が孵化・成長する過程で虫こぶも大きく発達する。虫こぶの形成・発 達には昆虫の唾液腺由来の物質や植物ホルモンが関わっていることは知られているが、その詳細な分子機構 は明らかとなっていない。そこで私たちは、虫こぶ誘導の分子機構の解明に向けて、寄生植物アメリカネナシカ ズラと、その上に虫こぶを作るマダラケシツブゾウムシを研究材料に研究を進めている。本講演では研究によ り明らかになった、虫こぶの形態変化と植物側の応答について紹介する。
連絡先 田上英明
詳細 pdf
備考 指定日時の中で第1部と第2部を実施します。

第2部「盗タンパク質—ゲノムに書かれない進化」

講師 別所-上原 学(名古屋大学 高等研究院)
日時 2023年5月19日(金),16:30〜18:30
場所 滝子キャンパス2号館4階 401号室
概要
生物は長い進化の歴史の過程で多様な形質を進化させてきた。それらの形質はゲノムにコードされてい るものだけでなく、他の生物に依存しているものも知られている。化学的に安定な生理活性物質(ビタミンや毒 など)の摂取は普遍的にみられるが、一部の生物は通常ならば消化されてしまう構造を取り込む。例えば、嚢 舌目のウミウシは餌の藻類由来の葉緑体(盗葉緑体)を利用して光合成を行い、また、裸鰓目のミノウミウシは サンゴやクラゲから取り込んだ刺胞(盗刺胞)を利用することが知られている。一方で、消化に脆弱な餌由来の 酵素タンパク質をそのまま利用する例はこれまで報告がなかった。演者は、未解明な生物発光の分子メカニズ ムを研究する過程で、発光魚キンメモドキが餌生物の甲殻類トガリウミホタルから発光酵素であるルシフェラー ゼを取り込み利用することを明らかにした。餌由来の酵素タンパク質を利用する全く新しい本現象を 「Kleptoprotein(盗タンパク質)」と名付けた。本セミナーでは、キンメモドキから盗タンパク質が見つかった経緯 を紹介する。
連絡先 田上英明
詳細 pdf
備考 指定日時の中で第1部と第2部を実施します。