名古屋市立大学大学院 理学研究科 総合生命理学部

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イベント情報

第167回「肥満・糖尿病モデルゼブラフィッシュの開発と応用展開」

講師 島田 康人(三重大学 大学院医学系研究科)
日時 2023年6月28日(水),16:30〜17:30
場所 滝子キャンパス2号館4階 401号室
概要  脊椎動物は進化の過程で、水中・陸上・空中と幅広く適応放散し様々な形態的特徴を獲得してきたが、同時に中枢神経や消化器系、骨格筋など共通した臓器構成を共有している。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)は元来南アジアに生息している熱帯魚であったが、1960年代に脊椎動物発生のモデルとしてオレゴン大学を中心に研究が始まり、組織学的知見の収集・近交系の構築が進んだ。21世紀に入りゼブラフィッシュもゲノムシーケンスプロジェクトの対象となり、2013年のプロジェクト完了までの間にゲノム・遺伝子・タンパク質・臓器発生・細胞内シグナル伝達等、様々な生命要素がゼブラフィッシュとヒトと共通していることが明らかとなった。さらにtol2トランスポゾン・CRISPR-Cas9による遺伝子操作の発展とともに、医学・薬学・環境学など様々な分野における研究対象となった。特に採卵数が多く、発生が早い、稚魚期には体が透明であることから、蛍光タンパク質を用いた生体イメージングや、さらに動物個体を用いたスクリーニング(in vivo screening)の分野で独自の研究が展開した。
 演者は2011年に世界初の食餌性肥満モデルゼブラフィッシュを発表し、そのモデルを用いた新たな内臓脂肪蓄積・脂肪肝発症メカニズムの発見や抗肥満成分の探索を行っている。また2022年以降は内臓脂肪可視化ゼブラフィッシュを用いたスクリーニング系を確立し、画像ベースのスクリーニングも行っている。2017年にはこれも世界初の二型糖尿病モデルゼブラフィッシュを発表、その腸内細菌叢のヒト糖尿病患者との比較解析や、新規インスリン調節遺伝子cenpxを発見した。現在、このモデルにIGF1受容体欠損・尿タンパク質のEGFPラベルを付与した糖尿病性腎症ゼブラフィッシュを構築し、ヒトでは不治とされる腎症の治療遺伝子探索を行っているので紹介する。
連絡先 田上 英明
詳細 pdf
備考 本セミナーはZOOM配信もします。アドレスは配信メールに記載。