名古屋市立大学大学院 理学研究科 総合生命理学部

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Achievement
研究業績

鈴木教授の論文が国際学術誌Frontiers in Microbiologyに掲載されました

研究分野 生命科学(分子進化学)
掲載誌 Frontiers in Microbiology
論文題目 Study of complete genome sequences of rotavirus A epidemics and evolution in Japan in 2012–2014
著者 Yoshiki Fujii, Yen Hai Doan, Yoshiyuki Suzuki, Toyoko Nakagomi, Osamu Nakagomi, Kazuhiko Katayama
所属機関 国立感染症研究所, 名古屋市立大学, 長崎大学, 北里大学
概要 ロタウイルスは世界中で小児に胃腸炎を起こす主要なウイルスのひとつです。ロタウイルスはインフルエンザウイルスとは異なり脂質膜(エンベロープ)には囲まれておらず、タンパク質の3重の殻の内部に、11本の分節に分かれた2本鎖RNAのゲノムを格納しています。ヒトで流行しているロタウイルスには大きく、Wa型とDS-1型という2系統があります。ロタウイルスに対しては、ロタリックスとロタテックという有効性の高い生ワクチンが利用可能であり、日本ではそれぞれ2011年11月と2012年7月に導入されました。しかしながら、ワクチン導入後にWa型とDS-1型の混合型ロタウイルスが誕生し、世界中で流行し始めています。そのため、ロタウイルスに対するさらなる対策を考える上では、流行状況をモニタリングし続けることが重要です。本研究では、2012年から2014年の間に日本の6ヶ所の病院で分離されたヒトロタウイルス333株について、次世代シークエンサーを用いて全ゲノム配列を決定し、系統樹を作成することにより、それぞれの株がいつ頃枝分かれ(分岐)したのかを推定しました。その結果、ロタウイルスの流行株には地域特異性やシーズン特異性があること、ある株が日本で局所的に流行するには1年から3年、日本全体で流行するには2年から6年かかることが分かりました。これらはロタウイルスの伝播速度を示唆する重要な知見です。
掲載日 2019年1月31日
DOI 10.3389/fmicb.2019.00038
備考  

 

ロタウイルスの最外殻を構成する糖タンパク質のひとつであるVP7をコードする遺伝子(遺伝子型G9)の塩基配列を用いて作成した系統樹。スケールバーは西暦をあらわす。