三浦准教授の論文が国際学術誌Physical Review Eに掲載されました
研究分野 | 物質科学(結晶成長学) |
掲載誌 | Physical Review E |
論文題目 | Phase-field model for growth and dissolution of a stoichiometric compound in a binary liquid |
著者 | Hitoshi Miura |
所属機関 | 名市大システム自然科学研究科 |
概要 |
地球上の岩石や宇宙から飛来する石質隕石にはさまざまなケイ酸塩鉱物結晶が含まれており,その多くはマグマが冷却する過程で晶出・成長したものである。その形・化学組成・サイズなどの特徴は,これらの鉱物の成因を推測する手掛かりを与える。急冷するマグマからの鉱物結晶成長ダイナミクスは平衡論では扱えず,従来は主に実験や経験に基づいて研究が進められていたが,それを理論面から検証する有効な手法がないことが素過程の理解を妨げる一因となっていた。著者は,金属工学分野で発展してきた合金凝固過程の数値計算法である「フェーズフィールド(PF)法」に着目し,これを地球惑星科学分野へ導入する試みに取り組んでいる。本論文では,より多様な鉱物結晶への適用を目的とし,定比化合物を含む多成分ケイ酸塩系を対象としたPF法を開発した。また,本モデルを単純化されたMg2SiO4–SiO2二成分系に適用し,いくつかのテスト計算を実施した。本研究は,PF法を定比化合物を含む系に適用するための重要なステップである。
|
掲載日 | 2018年8月27日 |
DOI | 10.1103/PhysRevE.98.023311 |

マグマの中で成長する結晶(crystal)の模式図。結晶の成長に伴い,結晶に取り込まれない成分が,結晶の周囲に掃き集められて濃集する(boundary layer)。この中で成長する結晶は,boundary layerの影響を受ける。フェーズフィールド法は,結晶の成長と周囲の濃度場の変化を同時に扱うことが可能な数値計算手法である。